コラム 〜第11回〜

バイオリンのレッスンを始める適切な年齢というものはあるのでしょうか。教育・勉強熱心な日本人の方の中には色々な情報を読みあさり、バイオリンレッスンのお問い合わせをいただいた際に様々な質問をうけます。「6歳ではもう遅いでしょうか?」とか、「3歳から始めるのがいいと聞きました!」などなど。これらの情報はそれぞれに根拠はあると思いますが、それが個人個人に当てはまるかどうはケース・バイ・ケースです。

バイオリンは簡単に習得できる楽器・習い事ではありません。集中力、手や腕のコーディネーション、また、楽器を構える体力、スタミナが必要です。これらの発達には個人差が生じます。3歳で始められる子もいれば、6歳、7歳頃まで待ってから始める方が適切な子もいます。また、これまでにこちらのコラムでご紹介してきたとおり、レッスンを始めてすぐに曲が弾けないどころか、音も出せないバイオリン。地道な練習を何週間も続け、辛いと感じてもがんばれる根気が必要です。活発で常に変化や刺激の必要な小さなお子さんには向いていないかもしれません。しかし、そんな性格でもバイオリンが大好きだったら根気を育てながらがんばれるお子さんもいらっしゃるでしょう。

私がこれまでに担当してきた生徒さん達を見てきて感じるのは、まず、子ども達の発達は男女に差があるということ。女の子の方が一般的に幼少期の発達が早いです。ですから自然とバイオリンを始める適齢期が早まります。しかし、最初に申し上げたとおり、個人差がありますから、4歳で始められる男の子もいますし、6歳くらいまで待って始めた方がいい女の子もいます。張り切って、幼すぎるのにレッスンを始めてしまうと、進歩に時間がかかり、なかなか曲が弾けるようになれないので面白くない。面白くないからやめる。そんな結果になってしまうのはもったいないですね。ですから、バイオリンのレッスンを始める時期は、先生に直接会って相談する事が必要です。

反面、小学校高学年、中学生になってから始めるのは遅すぎるかと言えばそんな事はありません。バイオリンを習いたい!という強い気持ちがあるのなら是非とも習っていただきたいと思います。ただ、体の柔軟性が必要な楽器なので体がしっかり発達してから始めると、正しい姿勢に慣れるのに少々苦労する面は出て来るかもしれません。

細かい事を色々並べ立てましたが、最後に一番大切な事を申し上げたいと思います。バイオリンを含め、楽器を習わせてあげるという事は、お子さんの将来への投資です。音楽はよく『言語』の一つであるというふうに表現されます。音楽が表現・理解できれば、たとえ言葉が通じなくとも世界中の誰とでも分かち合う事ができるからです。コンクールに入賞したり、有名音楽学校に入れなければ楽器を習う価値がない、など極端な考えを持った人がまれにいらっしゃいますが、音楽は文字通り「音を楽しむ」ためのものです。バイオリンを習って弾けるようになれば、将来、この楽器と音楽を通して様々な人と知り合い、それぞれの世界を広められます。バイオリンを何歳からはじめようが、レッスンや練習に費やした時間とエネルギーは全て、価値あるお子さんの将来へつながるのです。

 

*このコラムはニューヨーク・ウィークリー・ビズ紙さんのオンライン版に掲載されました。