かい君(3才)集中力の訓練

今日は当教室で一番年少さんのかい君をご紹介したいと思います。

 

かい君はまだ3才。ロングアイランドの遠い所から毎週2回、お兄ちゃんのれい君と一緒にレッスンに通っています。3才という年齢は子供によって発育の個人差が激しい年頃なので楽器を始めるのに相応しい時期かどうかは見極めが必要です。かい君の場合すでにお兄ちゃんがレッスンを受けており、バイオリンの環境で育っている事、そして本人が強い意志を持って色々な行動を出来るという性格のお子さんなので数ヶ月前からレッスンを始めました。

 

写真の中でかい君はバイオリンを肩に乗せ、あごで挟み、手を離してじっと持つ訓練をしています。丸いコインを乗せているのは動かないでジッとするのに、かい君が視点の的に使うため。この姿勢で私が100まで数え、視点を動かさず、コインもバイオリンから落とさず成功するとこのチョコレートコインをご褒美に持って帰れるという仕組みです。3才児にバイオリンを構えさせ、数秒以上ジッとして視点も動かさずに集中するという事は大仕事です。かい君は数ヶ月でずいぶん進歩しました。目、体、心を静かにしてしっかり集中しています。今ではバイオリンの構えもプロ顔負け?です。(笑)

 

 

 
 

バイオリンがしっかり構えられるようになれば次は弓をもつ練習をします。

この写真では弓の手を丁寧に準備して下腹部でまっすぐに持ち、動かさずにジッと落ち着いて持つ訓練をしています。かい君の目も真剣です。子供にとって指先に力を入れず、リラックスさせて静かにジッと持っているのはバイオリンを構えるよりもっと大変な事です。ここでもコインを弓に乗せてフォーカスポイントに使います。こちらもかい君、しっかりマスターしました。これは3才児にとっては大達成。がんばったね!

バイオリンを習うには姿勢が基本中の基本。このように楽器で音を出さず、地味な『集中力を高める練習』は楽器をきちんと構えられるようになる為に必要不可欠です。よく生徒さんやそのご家族に説明するのは「ピアノには足があって楽器本体が既に弾かれる姿勢に固定されています。だから鍵盤を押せば奇麗な音が必ず出る。でもバイオリンには足がついていません。正しく構え、正しい姿勢で弾かなければ奇麗な音はでないのです。」

自分の体と楽器が正しく合体して初めて美しい音が出せるようになります。

 

この土台がしっかり築かれるかどうかで先の進歩の速さが大きく違ってきます。もし、エンパイアステートビルが砂浜に建てられたらあんなに空高く安定して建っていられるでしょうか?もちろん沈んでしまうか、倒れてしまうでしょう。時間をかけて正しく強い土台を準備してから空高く積み上げられたビルだから真っ直ぐ建っていられるのです。

 

かい君も少しずつ奇麗な音で弾けるようになってきました。地味な練習と辛抱強さの必要なバイオリンですが、この先の成長が楽しみです。